このブログ「Weekend Shuffle」は週末暇な時に更新してゆくつもりでしたが、今日のように眠れない夜にも更新します。
フュージョン系の音楽が好きな人には有名な話だけれど、一般的にはあまり知られていないのがスマップの音楽のレベルの高さ。お茶の間でもお馴染みの、歌があまり上手くないアイドルグループ「スマップ」には、実はSクラスレベルの最高なポップスサウンドの作品をいくつかリリースしているという裏腹な面があるのです。
実は、僕もスマップの音楽の良さに気づいたのはここ数年の話。スマップの楽曲では有名なスタジオミュージシャン達がセッションしているのは前から知っていたのだけれど、「たかがスマップww」という先入観のせいか、聞いてみようという興味さえありませんでした。一時期、上品なポップスに飢えていた時期があり、手当たり次第聴いていたものの、そのうちにありきたりな小奇麗なポップスに少し飽きてきたという壁にあたりました。「なにかこうガツンとくるようなダイナミックでファンキーなポップスはないの?」と思っていたその時に、ふとスマップの事を思い出したのです。期待する半面、「これからスマップを聴くなんて、誰かにバレたら笑われるんじゃないか」という複雑な心境の中、とりあえず豪華な面子で固めてある7作目の「007: Gold Singer」を聴いてみる決心をしました。しかし、そんなモヤモヤした気持ちは一曲目の「KANSHAして(Wah Wah Version)」のイントロだけで打ち消されたのです。あまりにも衝撃的で、電車の中で聴きながら思わず微笑んでしまう程でした。それもそのはず、参加ミュージシャンは、Vinnie Colaiuta、Omar Hakim、Will Lee、Chuck Rainey、David T. Walker、Michael Breckerと、思い当たる人達だけでもこれだけ名前が出てきます。このツワモノ面子は「なんなんだ、お前らはSteely Danのつもりか」と言ってしまいたくなる程ですね。スマップを聴いて、初めて「Chokkaku」というアレンジャーの名前を知りましたが、これがまた素晴らしいセンスの持ち主です。アルバム全体的にアレンジがとても良くて、アルバムの中盤「たぶんオーライ」辺りまで、テンションを落とさずにバランスも完璧と言えるほどのハイクオリティーな仕上がりです。実際に聞くまで、スマップの音楽を疑っていた自分ですが、今となっては胸を張って言います。「僕はスマップの音楽が大好きだ」と。
こんな調子で見事にスマップにはまり、豪華ミュージシャンが参加されている6枚目から12枚目までのアルバムを聴いてゆくうちに「なぜ?」とゆう疑問が生まれました。なぜ、お世辞にも上手いとは言えないスマップのボーカルが乗るトラックの為に、莫大な制作費をかけてまで作るのか。適当に打ち込みとかで済ませばよいものを、なぜにしてわざわざ海外録音とかするのか。なぜベスト版やシングルバージョンのテイクが違ったり、演奏者までも変えたりするのか。「もしかしたら、スマップのファンは皆ハイクオリティーな楽曲を求めているんじゃないか?」「皆シングルやアルバムバージョンを聞き比べるのを楽しんでいるんじゃないか?」という発想もありましたが、ミュージシャン関係なしにコンサートをするし、最近では海外アーティストを起用する事がなくなったので、「ファンの要求に応えるため」という可能性は極めて薄いと考えます。結局、僕のたどり着いた結論はこのポストのタイトルにもある「ジャニーズの陰謀」です。これは音楽好きのスタッフ達が集まり、どうしたらこれからの日本のポップス音楽のレベルを上げれるか?と語り合った結果、「やはり若い頃からレベルの高い音楽を聴くに限る」と皆が意気投合したのでしょう。その手段として、スマップという人気アイドルグループを通して、スゴ腕ミュージシャン達の音を10代から20代前半の若者たち(実際のファン層は詳しく知りませんが)に聴かせるために制作にかかったのです。若い頃、特に10代の頃に聴いたスマップの音楽は耳に残り、無意識と楽器などに興味が沸いてくるはずです。そうなれば、スーパーテクニックミュージシャンが集まったガールズバンドが次から次へと出てくる日もそう遠くはないはずです。僕はその「時代」が来るまでスマップを聴きながら待っています。
Sunday, April 4, 2010
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